Q&A

夫が借金を残して行方不明になった!

Q.私と夫は結婚して25年になります。家は持家で、多少ですが住宅ローンが残っています。子供も独立して夫婦二人で生活していましたが、ある日、夫が朝出かけたまま行方不明になりました。部屋を探すと置手紙があり、「仕事が嫌になって一人になりたい」、「離婚してほしい」、「探さないでほしい」と書いてありました。しかし、離婚届は見当たりませんでした。会社には事情を話しましたが、無断欠勤が続いたので解雇されてしまいました。夫には、夫名義の持家と住宅ローン、生命保険、退職金があります。夫は、行方不明になる直前にクレジット会社数社から借金をしたらしく、クレジット会社から督促状が届いています。私は、これからどうしたらよいでしょうか。

 

A.このまま放置していると、いずれ住宅ローンが延滞し、自宅は競売にかかってしまいます。クレジット会社からも裁判を起こされ、判決となり、生命保険金や退職金が差し押さえられてしまうおそれがあります。

 

 確かに、妻は、当然には、夫名義の住宅ローンや借金を支払う義務はありませんが、夫とともに築いた財産を借金の形に取られてしまうのを指をくわえて見ておくわけにもいきません。

 

 妻としては、行方不明の夫を相手に婚姻費用(生活費)の支払を求めて家事審判を申し立て、審判書(判決のようなもの)をもらって夫の財産を差し押さえることも考えられます。

 

 しかし、夫は勤務先を退職して今現在収入があるかどうかもわかりませんので、思いどおりの婚姻費用が認められない可能性があります。また、仮に支払が認められたとしても、十分な補償にはなりません。

 

 そこで、一方的に出て行った夫に見切りをつけ、夫と離婚することが考えられます。
 離婚には夫の承諾を得るか、あるいは離婚原因が必要ですが、夫は「離婚してほしい」と置手紙を残して行方不明となったというのですから、妻が離婚を申し出れば、婚姻関係を継続できないとして離婚が認められる可能性が高いです。

 

 また、夫が婚姻費用も渡さず、借金も残して一人行方不明になったことが離婚の原因ですから、夫に対しては離婚とともに慰謝料を請求し、併せて夫婦が婚姻中に築いた財産の精算、あるいは行方不明後の未払婚姻費用の精算を目的として財産分与の請求をすることを検討します。

 

 さて、手続ですが、行方不明の夫相手に調停を申し立てても無駄ですから、ご質問のケースでは、いきなり離婚裁判を提起することになります。
 また、裁判への呼出状と訴訟資料も行方不明の夫には届きませんので、夫に届かないことを前提に公示送達の申立てをして、夫不出頭のまま裁判手続を進めます。

 

 この場合、夫は裁判に出頭してきませんので、妻側の主張と証拠、妻側申請の本人や証人の尋問を経て、判決に至ります。

 仮に、判決で離婚が認められ、慰謝料、財産分与とも請求どおり認められれば、この判決をもって、住宅ローンの競売手続に参加して配当を要求し、あるいは、退職金や生命保険を自ら差し押さえて回収することが可能となります。

 

 住宅ローンの競売が思いのほか早く進みそうな場合には、正式な裁判の前に、将来の慰謝料や財産分与の請求を保全するため不動産に対し仮差押を申し立て、決定を得ることも検討しなければなりません。

 

 いずれにしても非常に専門的な知見と判断が要求されますので、弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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