会社代表者の父が亡くなり保証を引き継ぐことに!
Q.私の父は会社を経営していましたが昨年亡くなりました。会社には後継者がいて今のところ順調に事業をしていますが、父は生前会社のために銀行に保証をしていましたので、もし会社になにかあると相続人である私と兄、母に請求がくると聞きました。相続放棄も考えましたが、私は母と一緒に父名義の自宅に暮らしており、相続を放棄すると家を出なければなりません。どうすればよいでしょうか。
A.保証人を外してもらうには金融機関との交渉が必要!
まず考えられることは、現時点で会社の業績に問題がなく、金融機関への返済が順調に行われているなら、金融機関と交渉して、父の地位を承継する相続人各人の保証人の解除と後継者への変更を申し入れることです。相続人が誰一人として会社の経営に関与していないのであれば、むしろ保証人になっていること自体が不自然ですので、金融機関も相談に応じてくれると思います。
ただし、父名義の自宅には金融機関の担保が設定されている可能性がありますし、仮に設定されていなくても、保証人を外す代りに自宅への担保設定を求められる可能性があります。また、父が所有する株式も相続することになるでしょうから、株式も担保に入れることを求められる可能性があります。
保証人も担保も外してもらうためには、経営を引き継ぐ後継者に保証人を代わってもらい、新たな担保を金融機関に差し入れてもらって自宅の担保を外してもらうよう交渉する必要があります。その場合、父から引き継いだ株式を後継者に譲渡するなどの条件案を提示することも考えなければならないでしょう。
金融機関が保証の解除に応じないなら保全措置を!
上記が難しいなら、リスクを抑えるために、ひとまず母のみが相続を承認し、質問者と兄は相続を放棄し、時間をかけて保証人変更の交渉を続けることもやむを得ないでしょう。
保証だけなら、会社の業績が今後も順調で、借入金の返済が進めば、そのうち保証した借入金が完済となり、保証が効力を失うこともあります(不特定の借金等を保証する根保証でも時期が来れば元本が確定し、通常の保証と同様借金が完済されれば効力を失います。)。
保証人も変わってもらえず、担保も外れないとなると、業績が今後も維持されるよう、相続人のどなたかが大株主として会社に役員として入り、経営を監視して業績の推移を見守ることも考える必要があります。
また、仮に将来会社の業績が悪くなって保証人として責任を追及されたり、担保に入っている自宅を競売に付されたりした場合に備え、会社に対する求償権を保全するため会社に担保を設定してもらうことを要求すべきでしょう。
ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
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