Q&A

多数の相続人がいる場合の分割協議

Q.私は三人兄妹で、父は既に他界しています。父は6人兄妹で、父を含め3名は既に他界しています。このたび父の姉妹の一人である叔母が亡くなりました。叔母は生涯独身で子供はいません。祖父母は既に他界しています。遺産は叔母が住んでいた一軒家と預貯金です。相続人は、未だ健在の叔父と叔母をはじめ、既に亡くなっている叔父、叔母、父のそれぞれの代襲相続人である子供らで、全部で10名になります。
 相続人間で特に遺産分けについて争いはなく、不動産については売却し、払戻しを受けた預貯金を合わせて、各相続人間で相続分に応じて分配することで合意しています。人数も多いので、どのように進めればよいでしょうか。

A.遺産を単独相続して代償金を支払う方法が便利

 

 相続人の中から、どなたか代表の方を選んでその方が全ての遺産を相続することとし、他の方は相続分に応じた代償金を受け取る内容の遺産分割協議書を作成することが考えられます。そのうえで、遺産を相続した方が預金を解約し、また不動産の売却手続を進めて、払戻金と売却代金を他の相続人に支払うのがスムーズでしょう。

 

多数の相続人が一同に会して分割協議をするのは大変

 

 遺産分割は、相続人の協議により遺産の分割方法を決める手続です。通常は、妻と子、妻と親、妻と兄妹といった比較的近しい限られた関係者の間での話し合いが行われますが、まれに妻子がなく、兄妹も既に亡くなっていて、その代襲者である多数の甥や姪が相続人として遺産分割協議をしなければならないことがあります。
 

 質問者のケースも相続人が10名にのぼりますので、一堂に会して協議することは簡単ではありません。話し合いがまとまらなければ家庭裁判所の調停を申し立てて協議をしなければならない場合もあります。幸い質問者の場合は、分割方法について争いがありませんので、家庭裁判所のお世話になることはありませんが、それでも10名も相続人がいると、預金の払戻しや不動産の売却手続を進めることは容易ではありません。

 

信頼できる相続人が相続人全員の代表者として換金手続をして分配する方法がある

 

 そこで、遺産を特定の相続人が代表して相続し、他の相続人には相続分に相当する代償金を支払う方法で分割協議を成立させることがあります。
 このようにすれば、預金の払戻しは単独でできますし、不動産の売却も比較的自由に買主を探して売却することができます。
もちろん、相続人を代表して手続を進めることになりますので、相続人から信頼を得られる人を選ぶ必要があります。

 一部の相続人が単独取得することに抵抗がある場合は、遺産は相続分に応じて各自が取得することとし、預金の払戻しや不動産の売却手続のために便宜的に代表者の単独名義として払戻しと売却を実施し、他の相続人に現金を分配する、という内容の遺産分割協議をすることもあります。

 

 なお、名義人になった者、代償金の分配を受けた者のいずれも相続税の申告が必要な場合があります。また、不動産を売却した場合も、譲渡所得税の申告が必要となる場合がありますので、こちらも注意しておく必要があります。

 

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