遺産分割に関心がなく協力を得られない相続人がいる件で、該当者から持分を取得する内容にて代償分割の調停に代わる審判を得た事例
●相談内容●
兄妹姉妹間の相続で、遺産は主として不動産。関係者が多く、お互いに疎遠であったものの、具体的相続分についての争いは見込まれず、不動産を売却して持分に応じて分配することが目的であったため、相続人の協力を得られるだろうと考えていた。
●解決事例●
受任後、関係者に連絡をとり、方針を説明し、同意を取り付けていったが、一人だけ連絡がつきにくく、自らの持分への関心もなく、協力を得られなかったため、やむなく調停を申し立てた。案の定、調停にも出席しなかったため、共有分割の審判がなされる可能性があったが、共有分割の審判では非協力者の同意が得られないため不動産を売却できない。そのため、思案の結果、一人の相続人が非協力の相続人の持分を取得して、代わりに代償金を支払う内容にて、調停に代わる審判を取得する方向で裁判所を説得、無事に調停に代わる審判を得た。また、同じ不動産には遺産分割の対象とならない非協力者の共有持分があったため、このままでは不動産を売却できない。そのため、共有物分割の訴訟を提起し、同様に非協力者の持分を一人の共有者が取得して、非協力者に代償金を支払う内容の判決を求めた。予想どおり、非協力者は裁判に出席せず、欠席判決のまま請求が認められた。以上の経過を経て、1年近くかかった遺産分割事件は終了し、無事に不動産を時価で売却することができた。
●ポイント●
多数いる相続人の遺産分割には困難を伴うことが多いですが、工夫次第でスムーズに分割が実現することがあります。今回は、相続人が遺産の恩恵に与ることに関心を示さない特異が事例でしたが、何もしない場合は、不動産の競売による分割(安い価額でしか売却できない結果が予想されました。)や、共有分割の結果となり、他の相続人が不利益を被る可能性がありました。弁護士が受任して不利益を回避できた事例として参考としていただければと思います。