サーキット場へ
スリップストリーム
車のレースでは、前を走る車を追い抜くために先行車のリアギリギリに接近することがよくあります。これは空力を利用した追い抜きの仕方で非常に有効な場合があります(スリップストリーム)。
しかし、これを一般道でやると大変なことになります。昔、高速道路でスリップストリームを利用して追い抜きをしようとした車両が先行車に衝突して運転者が死亡する事故がありました。
あおり行為等で重い罰則も!
道路を走っていると、速度制限を超えて走行する後続の車両が、速度の遅い先行車両をあおる行為をよく見かけます。しかし、先行車両の急な減速等により追突事故が起きれば大惨事につながります。道路交通法では、車両は、先行車両が急に停止したときでも、これに追突することなく回避できるために必要な車間距離を保つことが義務づけられています(同法26条)。
車両は、運転者が危険を感じてブレーキを踏むまでのわずかな時間でも前進します。実際にブレーキが効きはじめるまでの距離を空走距離と言いますが、車両が停止するには、この空走距離に加えて、ブレーキが効き始めてから車が停止するまでの制動距離が必要です。運転者は、この二つの距離を十分に考慮して先行車両との距離を保たなければなりません。
道路でのあおり行為等、危険な行為に対しては、上記道路交通法の車間距離保持義務違反となり、違反点数2点、反則金6千円~1万2千円を課せられ、反則金を納めなければ3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処せられます(同法119条1項1号の4、同法26条)。
また、あおり行為等により事故を起こし、人を死傷させれば、危険運転致死傷罪として、負傷させた場合は15年以下の懲役に、死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役刑に処せられます(自動車運転死傷行為処罰法2条)。
思いっきり走りたいならサーキット場へ!
急いでいるからと、周りの車両の運転手の運転操作を誤らせるような危険なあおり行為等は厳に慎まなければなりません。
思いっきり走りたいならサーキット場へ行くとよいです。簡単な講習を受けなければなりませんが、サーキット場のルールを守ってさえいれば、スピード違反の心配はいりません。
サーキットで走ると、自動車の性能がよくわかり、確実に運転技量も向上します。一般道では、自然と安全運転を心がけるようになりますので、一度チャレンジしてみてください。
ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
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