遺言書の検認について
Q.先月、父が亡くなりました。私には姉と兄がいますが、父は生前私が独身で不憫に思ったのか、遺産を全て私に譲るという遺言を書いてくれて、私に預けました。遺言書は封筒に入れて保管していますが、今後どうすればよいでしょうか。
A.自筆証書遺言の保管者は開封前に家庭裁判所で検認手続を!
遺言は、自筆証書遺言のようですから、保管者である質問者は父が亡くなった後、遅滞なく、遺言書を父の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出して、検認の審判を申し立てなければなりません。
遺言書が封書におさめられ封印されている場合は、家庭裁判所で相続人やその代理人の立会いがなければ、開封することができないことになっています。
遺言書の検認手続をせずに遺言を執行したり、封印されている遺言書を家庭裁判所外で開封したりすると、5万円以下の過料の制裁を課せられることがあります。
遺言書の存在を隠して相続手続を進めると相続人の資格を失うことも!
検認の審判は、相続人に対して遺言書の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、訂正の有無・方法、日付、署名の仕方、保管方法など、検認の日における遺言書の内容を明らかにすることにより、遺言書の現状を記録にとどめ、遺言書の偽造や変造を防止するための手続です。
検認は、遺言書の現状を保存するための手続ですので、検認がなされたかどうかは遺言書の効力には影響しません。検認をしたからと言って無効な遺言書が有効になることはありませんし、逆に、検認がされなかったからと言って有効な遺言書が無効となるわけでもありません。
なお、遺言書の存在の知りながら検認をせず、しかも他の相続人にも遺言の存在を隠して遺産分割協議を進めた場合には、遺言を隠匿したものと見られて、相続人の資格を失うことがありますので注意が必要です。
ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
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