実の親との縁を切りたい!
Q.私は、小さい頃から両親と仲が悪く、高校を卒業して直ぐに家を出て、以来20年間、両親と連絡をとっていません。しかし、最近両親が私を探し出して、経済的援助を要求してきています。両親と縁を切りたいのですが、可能でしょうか。
A.実の親子の縁は切れない!
ドラマや映画では「親子の縁を切る」、「勘当する」と言って関係を断つシーンを見かけますが、残念ながら実の親子の縁を法的に切ることはできません。養子であれば離縁をすれば養親との法的な親子関係を解消できますが、実の親子では認められません。
相続との関係では、遺留分を有する相続人の著しい非行(虐待をする、重大な侮辱を加えるなど)を理由に、相続人の廃除を家庭裁判所に請求できますが、その他の面ではこのような制度は存在しません。
親子である限り、 能力と必要性に応じた扶養義務がある!
親子関係を切れないとすると、親子の間にはお互いを助け合い、扶養する義務がありますので、親が子に経済的援助を求めてくれば、親の扶養の必要性と、子の扶養能力次第で、援助をしなければならないことがあります。
もちろん、独立した成人の子の場合は、夫婦間や未成熟子と親との関係のように、扶養能力があれば自らの生活を犠牲にしても扶養義務を果たさなければならないというわけではなく、援助を求めてくる両親が、自らの能力では生活を維持することが困難な要扶養状態があることを前提に、子が自分の生活を維持して、なお余裕がある場合に限り、親の援助の要求に応じればよいことになっています。ですから、あなたが自分の生活に余裕がない場合には支援を断ることも可能です。
扶養に関する調停を申し立てて解決をはかる!
また、他に扶養義務者(両親の兄弟、あなたの兄弟など)がいる場合は、それらの方にも経済力に応じて扶養を求めることができますので、誰がどのくらい支援するかを話し合いで決めることになります。
関係者の間で話し合いが付かない場合は、家庭裁判所に扶養に関する調停を申し立てて話し合うことも可能ですし、話し合いがつかなければ裁判所が扶養の必要性や扶養義務者の資力、生活の程度などを調査したうえで、誰が、どのような方法で扶養をするかを審判で決定してくれます。
ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
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